大手損保初『精神疾患・認知症などのための保険』がスタート! 事件・事故などのトラブルから守る新しい保険

これまで、一般的な医療保険や死亡保険においては、精神疾患(主にうつ病や統合失調症)の病歴があると加入できないことがほとんどでしたが、近年は、増えつづける精神疾患患者数に応じてのことか、精神疾患があっても加入できる保険が登場しています(例:ニッセンライフなど)。

さらに、先日の時事ドットコムのニュースによると、精神疾患・認知症・身体障害者の方やそのご家族・支援者のための保険が登場したそうです(注:社団法人の会員向け)。

大手損保初『精神疾患・認知症などのための保険』がスタート!事件・事故などのトラブルから守る新しい保険

一般社団法人・全国地域生活支援機構「JLSA」(東京都新宿区)は、2018年6月1日より社団の個人会員向けに精神疾患・認知症・身体障害者の方やそのご家族・支援者のための保険「わたしのお守り総合補償」をスタート致しました。
昨今、メディアを大きく騒がすことも少なくない「精神疾患者」や「認知症」の方の事件・事故、徘徊等により起こしてしまった加害事故に対する「ご家族や支援者の方に振りかかる金銭的賠償リスク」の補償など、精神障害者や認知症高齢者の方に起こりやすいトラブルへの金銭的な補償や弁護士への相談・委任費用が補償されるのが特徴です。

引用:時事ドットコム2018年7月24日

補償の内容は、記事中にも書かれていますが、個人賠償責任補償(3億円限度)、弁護士費用補償(相談費用、委任費用)、ケガの補償などがあるようです。

認知症の方の事故で、訴訟にまで発展した事例としては、徘徊中の電車事故があります。一例として、2007年12月に、認知症患者の男性(要介護4、認知症高齢者自立度Ⅳ)が、東海道本線共和駅の線路内に立ち入り、走ってきた電車にはねられた事故では、JR東海が男性の遺族(妻、長男)に対し、振替輸送費等の損害賠償を請求する訴訟を起こしました。

民法714条は、重い認知症の人のように責任能力がない人の賠償責任を「監督義務者」が負うと定めています。そのため裁判では、家族が義務者に当たるのかが争点となりました。

一審(名古屋地裁)は、妻と長男に対して請求額約720万円全額の支払いを命じる判決、二審(名古屋高裁)は、長男に対する請求を退け、妻にのみ損害賠償(請求額の半額、約360万円)の支払いを命じました。しかし2016年3月の最高裁判決では、「妻も長男も監督義務者にあたらず賠償責任はない」とされ、JR東海の敗訴が確定しました

一方で、監督義務者に当たらなくても、日常生活での関わり方によっては、家族が「監督義務者に準じる立場」として責任を負う場合もあると指摘されています。

「わたしのお守り総合保障」は、そういった事件・事故への補償を備えており、全国地域生活支援機構(JLSA)と大手損保「損害保険ジャパン日本興亜」が開発しました。JLSAは、高齢者や障害者が安心して暮らせる地域社会をつくるために活動している社団法人ですから、裏を返せばそれだけ、高齢者や障害者による事件・事故、トラブルなどに関する相談が増えているとも言えます。

実際に弊社への相談でも、「本人(精神障害者)の起こしたトラブルによって、これまでに多額の損害賠償金を支払ってきました」とおっしゃる家族がいます。

上記保険に加入すればどんなケースでも保障してもらえるわけではないでしょうが、こういったニーズは、今後ますます重要視されることと思います。

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